第8日目 7月15日(火)
 6時起床。カーテンを開けると、早朝だというのに陽射しがとても強い。まぶしいわ暑いわで、しっかりと日焼け止めを塗った。

 7時半すぎに朝食を取り、そのまま海べりまで降りてみた。指先を浸した海水は、とても冷たい。海があまりにも美しいので、「ああ、水着を持ってくればよかった・・・」としみじみ思う。ツアー仲間のIさんとTさんが「どんな国に行く時も水着は持っていくわよ」と言うのを聞いて、今度からスーツケースの片隅に水着を押し込もうと思った。
スプリット
スプリット 8時45分にホテルを出発し、9時からスプリットの旧市街を徒歩で観光する。スプリットは3世紀末にディオクレティアヌス帝が引退後の住居として建てた宮殿都市で、宮殿の地下、カテドラル、ジュピター神殿などを見学した。(スプリットについては、こちらをご覧ください)

 見学後にフリータイムをもらったので、Iさん、Tさんと私の3人で、カフェで休憩した後、マーケットを冷やかした。
 海岸沿いに、ぽつんと靴紐屋の屋台が出ていたのだが、海辺リゾートでは皆サンダル履きで、靴紐などお呼びじゃないといった風に全く人が寄り付いていなかった。ところが、ちょうど都合のいいことに(?)、私の運動靴の靴紐がなんとなく綻びかけている。どこ製の靴紐かはわからないが、クロアチアで買った靴紐なんてちょっと記念になるじゃない、と思って黒い綿の靴紐を購入。2本で約200円だった。

 昼食は牛肉を特製のタレに漬け込んで焼いたマリネーレン・ビーフというもので、とてもやわらかくておいしかった。
 13時過ぎにスプリットを出発した。アドリア海沿岸を走るのは、ドブロブニクへ向かうこのドライブが最後になる。少し走ると、巨大な工場跡があった。美しい海岸線にそぐわないこの廃工場は、ガイドのトム氏によると、社会主義時代のPolitical Factoryだとのことだった。

 14時過ぎに、ブレラという町でトイレストップ。ここは、20以上の町や村からなる「マカルスカ・リビエラ」の入口となる町である。美しい海岸線に沿って、小さくて素朴な町や村が点在しており、日本でいう民宿のような宿に長期滞在してバカンスを楽しむのだそうだ。
マカルスカ・リビエラ
ネルトバ川のデルタ地帯  その後、一旦海岸線から離れ、内陸の道を走る。やがて山々に囲まれたデルタ地帯が目の前に広がる。それは今まで見てきたクロアチアの風景とは全く違うもので、豊かに水をたたえた緑の大地に思わず目を奪われた。

 再び海岸線へ戻ると、今度は一度クロアチアを出国しなくてはならない。ボスニア・ヘルツェゴビナが9kmほど海岸線を有しているためである。両国の国境線のところには青いゲートがあり、緊張感が漂う雰囲気ではあるが、出入国は特に問題なく済む。
 ボスニア・ヘルツェゴビナ領内にネウムという町があり、そこで少し休憩を取る。カフェやスーパーが数件並んでいるのだが、クロアチアより物価がかなり安いので、近隣のクロアチア人が生活用品の買出しに訪れるのだとか。(クロアチアの通貨も使用可)

 18時前に、ドブロブニクの手前にかかる橋のところでフォトストップ。この橋は3年前に完成したのだそうで、この橋があることで、ドブロブニクまでの道のりが10kmほどショートカットできるらしい。
 ラインの美しい白い橋の向こうに、ドブロブニクの町と紺碧の海が見えて、「ああ、やっとドブロブニクだ!」と感慨深かった。
 そもそも、私がクロアチアという国に興味を持ったきっかけは、ドブロブニクの旧市街の写真を見て「いつかここに行きたい!」と思ったことだったのだ。しかし、なかなかツアーがないこと、そしてツアーがあっても割合と日数が長いために参加できない・・・というおあずけ状態が数年続いていたため、「やっと来れた」という思いが強かったのかもしれない。
ドブロブニクはもうすぐ・・・
 ホテルは旧市街から徒歩圏の「エクセルシオール」。海沿いに建ち、旧市街も臨める最高の立地条件である。こんな場所だからこそ、何としても海側の部屋に泊まりたいと思っていたのだが、チェックイン前に全員がシー・ビューの部屋だと言われて本当に嬉しかった。
 ちゃんと部屋から旧市街が見え、喜びのあまり(?)部屋でまったりくつろいでいたら、あっという間に夕食の集合時間になってしまい、大慌てで着替えた。

 夕食は旧市街のピレ門脇にあるレストランで、シーフードをいただいた。このレストランでは、6月にローマ法王がお見えになった際に食事を取られたとのことだった。
エクセルシオールから旧市街を臨む  帰りは徒歩で旧市街を歩いて帰ることにした。メインストリートの石畳に、オレンジ色の街灯がやわらかく反射して、とてもきれいだった。もう時計の針は22時近くを指していたが、大勢の人々がそぞろ歩きをしていた。

 ホテルに戻り窓を開けると、横のレストランからジャズ・バンドの演奏が聞こえた。お風呂上り、心地よいサックスの響きに耳を傾け、そして夜風に吹かれながら、ほのかに浮かび上がる旧市街を日付が替わる頃までずっと眺めていた。



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