第9日目 7月16日(水)
ドブロブニク
ドブロブニクの旧市街をのぞむ。
下に見えるのは、ホテルのビーチ(砂はない)。


 6時半ごろ起床。窓を開けると、旧市街から教会の鐘の音が聞こえた。
 目の前に広がる紺碧のアドリア海、そして右に目を向ければ朝日に映える旧市街があり、憧れの風景を独り占め・・・という感じでとても幸せな気分になる。頭上には雲ひとつない空が広がり、日中はかなり暑くなりそうだった。

 7時半に朝食を取りに行き、帰りにホテル内のショップに寄った。クロアチアはネクタイ発祥の地なのだそうで、クロアチアで一番の老舗ブランド「クロアタ」でネクタイを2本購入した。旅行のたびに、父と弟にはネクタイを買って帰るのだが、自分がネクタイをしないので、いつも色や柄に悩んでしまう・・・
 支払いを済ませたころTさんが来たので、一緒に別のお店へ水着を探しにいった。紺碧の海を見ているうちに「やっぱり海に入りたい!」と思い、水着を買うことにしたのだ。朝食の際にTさんに話したところ、水着探しに付き合ってくれるというので、とりあえずホテル内で探すことにした。が、ホテル内には、私には普段縁のなさそうな(セレブ向けっぽい)オシャレなブティックしかなく、ものすごくオシャレなそして予算オーバーもはなはだしい水着しか置いていなかった。というわけで、水着探しはフリータイム時まで持ち越しとなった。
 9時半にホテルを出発し、まずは南方の山の中腹までバスで上り、フォトストップ。ドブロブニク全体を眺めることができる。絵葉書通りの景色なのだが、私のカメラはたいして望遠がきかないので、あまりよい写真は撮れなかった。

 ピレ広場でバスを降り、ピレ門から城壁内に入った。メインストリートのプラッツァ通りがまっすぐ町を貫き、町並みがとても美しい。オノフリオの噴水、フランチェスコ会修道院、聖ブラホ教会、総領の館、カテドラル、ドメニコ会修道院などを見学。また、スポンザ宮殿内でナイーブ・アートの特別展をやっていたので、これも見学した。
ドブロブニク
 11半から12時までの30分間、フリータイムだったので、水着のありそうな店を探して、プラッツァ通りを小走りにウィンドウ・ショッピング。
 私は体型が体型だけに(汗)、ワンピース以外の水着を着たことはなかった。が、ここではワンピースの水着などほとんど誰も着ていないし、大体売ってもいない! 布面積がかなりエコノミーな(?)ビキニタイプしかないのだ。(←Tさんは、このような水着のことを「三角」と命名した。上のブラ部分も、アンダーウェア部分も三角形だからである・・・)
 三角ビキニしか売っていないという事実にひるみ気味ではあったが、私は自分に言い聞かせた。「とにかく海にちょっと浸かることができればそれでいいの。写真を撮るわけじゃなし、誰に見られるわけでもないから、旅の恥はかき捨てよ、ワンピースがない以上は仕方ないわ!」と。
 せめてハイレグじゃないタイプのものがないかと、Tさんと手分けして走り回ったところ、アンダーウェアがボクサーショーツタイプの水着が見つかった。お値段も現金なら7千円、カードなら8千円程度と、まあ予算内におさまるのでそれを購入した。そう、海に入ることができればなんでもいいのだ・・・。
ドブロブニク旧市街  この日の昼食はフリーだったのだが、添乗員さんが皆の希望を聞いたところ、全員「シーフードを食べたい!」ということだったので、トム氏お勧めの店に行った。IさんTさんと3人で2人用のシーフード盛り合わせを頼んだところ、サラダ、カレイの空揚げ2尾、ムール貝山盛り、海老とイカのフライ、イカ墨のリゾットがどーんとテーブルに置かれた。どれもこれも本当においしくて、「こういうのが食べたかったのよ〜」と感涙。ツアーの食事は、どうしてもコース形式になってしまうので(内容が略式であっても)、こういうシンプルでどーんとした料理にはなかなかありつけないのだ。

 このレストランは、プラッツァ通りからちょっと奥まった路地にあったのだが、ちょっと奥にはいるだけでがらりと雰囲気が変わる。細い路地は迷路のように入り組み、路地と路地の間に張られたロープから洗濯物がぶら下がっていたりする。そんな路地のあちらこちらに、カフェやレストランのパラソルが置かれ、大勢の人が大いに食べ、飲み、笑い、そしてそぞろ歩きしており、なんだかとても楽しい雰囲気だった。
 午後はフリータイム。添乗員の鈴木さんは、この旅の途中から、ドブロブニクの沖合にあるロクロム島観光を皆に熱心に勧めていた。人数が集まれば、船をチャーターできるのだそうだ。ロクロム島はホテルからも見える緑の島で、反対側はヌーディスト・ビーチになっているのだとか。ツアー参加者16名のうち、11名が参加していた。
 いつも一緒に行動しているTさんに「どうする?」と聞かれたが、「行かない」と私もIさんも即答。私は「ドブロブニクへ行ったら、絶対に城壁を一周する」と思っていたし、Iさんは「アドリア海の海リゾートを堪能する」と前々から主張していたのだ。
 結局、Tさんは私と一緒に城壁歩きをすることになり、ピレ門脇のゲートから城壁の歩道へと上がった。(城壁の遊歩道は有料で、300円ほどの入場料が必要になる)
 陽射しの強い午後一番、ものすごく暑い。城壁は一周約1時間前後。
ドブロブニクの城壁から
沖にぽっかり浮かんでいるのがロクロム島

 旅行前に見つけたある旅行記で、「城壁を歩くなら、まずは山側から歩くべし」とアドバイスが書かれていたので、それにしたがって山側へと向かった。
 城壁は平坦ではなく、山側は高く、海側は低くなっており、遠くから見ると万里の長城風である。汗をかきかき、写真を撮りながらアップダウンした。
ドブロブニク  一番の高台に来たところで、「山側から歩け」という意味がよくわかった。高台から見下ろす城壁内の旧市街の風景と、その向こうに広がる紺碧の海とのコントラストが美しいこと! これは最後に見るより、最初に見たほうが断然印象が強い。
 旧市街の瓦屋根は、すべからくオレンジ色なのだが、明るく見えるのは内戦後に修復された部分なのだという。内戦時に、この美しい町は空襲でかなりの被害を受けている。
 あまりの暑さに、途中で水を購入。ちょうどいい場所に売店があるのだ。店を出たところで、きれいな金髪のお姉さんが「日本の方ですか?」と日本語で声をかけてきた。彼女はベルギー人で、大学で週3時間日本語の勉強をしているのだとか。夏のバカンスで彼(フランス人)と旅行に来ているのだそうだ。週に3時間だけの勉強にしては、かなり上手な日本語で、炎天下でしばし立ち話。

 2人と別れ、さらに歩き、ちょうど1時間で一周した。のどが渇いたので、お茶でもしましょう、とプラッツァ通りを突っ切りながらカフェを探したのだが、結局入りそこねてホテルまで戻ってしまった。

 部屋に戻る前に、ホテルのビーチ(とはいっても、砂ではなくてコンクリートの護岸)に行き、Iさんの姿を探すが見つからない。うろうろしていると、ホテルのボーイさんが「友達ならそこだよ」と指差した先には、タオルを頭からかぶって昼寝をしているIさんの姿があった。
プラッツア通り
プラッツァ通り

 部屋に戻って少し休憩したのち、「三角水着」を着用。鏡に映る自分の姿を見て、自己嫌悪に陥るが、「海に入れればいいの、何でもいいの」と萎える心を鼓舞しつつ(?)、上にぺらぺらのワンピースを羽織って再びビーチに降りた。
 エレベーターホールを出た途端、先ほどのボーイさんがすっと出ていてタオルを渡してくれ、Iさんの隣にさささっとデッキチェアとパラソルをセットしてくれた。なんとまあスマートな!
 コンクリートの護岸に、プールのような梯子がかけてある。上からのぞくと、透明度が高いので、かなり深いのがよくわかる。まあ泳げないわけではないので、足が底につかなくても平気なのだが、梯子を伝って水に入ったところ・・・これがまた水が冷たい! あまりの冷たさに、泳ぐどころではなく、梯子につかまったまま、まさに「浸かるだけ」でギブアップ。
三角三角三角〜(涙)
人生最大の汚点(?)な「三角」水着大公開(汗)

 水から上がって「ふー、あったかーい」とのてのて歩いていると、Iさんが慌てた様子で手招きをしているのに気づいた。Iさんの隣のデッキチェアに戻り、「何?」と聞くと、「その水着やばいよ、濡れると透ける」と耳うちされた。
 「ぎゃあああああ!」と心の中で悲鳴をあげたが、幸いほとんど人のいないビーチなうえに、ビーチにいる人たちは皆昼寝中。恥はかき捨てとは思ったが、ここまでひどいことになるとは・・・とほほな気分で、バスタオルで全身をくるんで横になっていると、Tさんがやってきて「ミイラみたい」と言われてしまった。「それじゃあせっかくの『三角』が見えないじゃない」と言うので、「ダメです、絶対見せません!」と二度と人前でこの水着姿をさらさないと決意したのだった。
 タオルぐるぐる巻きのまま、うつらうつらとしていると、あっという間に1時間ほど過ぎていた。夕食前にお風呂を済ませたかったので、Iさんより先に部屋へ引き上げた。
 19時に、ホテル内で夕食。夕暮れのテラスで、ビュッフェの食事を楽しんだ。明朝の出発時間が早いので、紙袋に入った朝食を渡されたのだが、中にはりんご、オレンジジュース、チーズ、ゆで卵、バター、ラップで包んだハムとパンが入っていた。内容的には確かにいつも朝食で食べているようなものなのだが、ラップでぺろりと包んであるハムなどを見ると、どうも「家から残り物を持ってきました」というような雰囲気でなんだかおかしかった。
 ナマモノを冷蔵庫に突っ込み、フロントへ両替しに行ったのだが、見事にぼられた(と思う)。確か35出したはずなのだが、計算書では25になっていた。両替は目の前で相手と金額を確認しながら行うのが鉄則なのだが、この時はちょっと油断していて(というか、もうすっかりクロアチア人を信用していた)、確認を怠っていたので文句が言えなかった。

 なんだか嫌な気分になりつつ、部屋に戻る途中にラウンジに寄ったところ、Iさんに会ったので一緒に食後のコーヒーを付き合ってもらった。薄闇に浮かぶ旧市街を眺めながら、アドリア海沿岸の最後の夜をゆっくりと楽しんだ。
エクセルシオール
私の部屋



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