第6日目 7月13日(日)
 8時ホテル発。
 途中、リエカの町外れでいったんバスから降り、1980年にリエカの姉妹都市である川崎市から贈られた春日灯籠を見学。大きな石灯籠の周囲だけ、和の空気が取り巻いていて、なんだか不思議な雰囲気だった。
 
 アドリア海沿岸の海岸ルートを南方へ進む。複雑な曲線を描く海岸線に沿って走り、クロアチア最大のクルク島やバカールの町を通り過ぎる。
 バカールは、深く入り込んだ入江に沿って建物が建ち並ぶ景観が美しい町である。しかし、ほんの目と鼻の先には、そんな美しい入江には似つかわしくない大きな煙突が立っている。これは社会主義時代のコークス工場で、現在ではすでに閉鎖されているとのことだった。
バカール(クロアチア) バカールのコークス工場
 やがて、海に浮かぶ島々の岩肌が白くむき出しになってきた。この近辺は、冬になると「ブーラ」という北風が150km/時という風速で吹くのだという。
 紺碧の海に浮かぶ石灰岩の白い島々は、まるで氷山のようで、その不思議な景観に目が釘付けになった。
ブーラのため岩肌がむき出しになった島
 9時45分、セーニ到着。プリトヴィツェに行くには、ここで海岸ルートから外れるのだが、その前にこの町でトイレ休憩を取った。
 セーニの別名は、「海賊の町」。海ではベネチア共和国と、内陸部ではオスマントルコと常に戦っていたためだという。

 カフェでエスプレッソを注文し、海を眺めながらまったり過ごした20分のフリータイムの後、ネハイ要塞を車窓から見ながら町を後にした。
 途中、オトチャックの町を通過した。ここは人口5千人の製材所の町で、メインストリートにはセルビア人用のギリシャ正教の教会と、クロアチア人用のローマンカトリックの教会があった。
 建物の壁には内戦時の銃痕がおびただしく残り、この旅行で初めてユーゴ内戦の傷痕を生々しく感じた。
 その後も、黄色や、青、ピンク色の野の花が咲き乱れるのどかな野原の景色のなかに、民家の廃墟や真新しいお墓が点在しているのが見えた。

 12時、プリトヴィツェ国立公園の中に入る。
 水の色は日の当たり加減で全く違ってくるのだが、その意味で今日はあまり天気がよくないので残念だった。雨が降るか降らないか・・・といった微妙な雲行きだったが、このツアーには晴れ女が何人もいるようだし、それにトムさんが傘を持った時は絶対に雨が降らないのだそうで、トムさんはわざと折り畳み傘を持ってバスを下りていた。

 ランチは公園内のレストランにて。メニューは羊だと聞いていたが、トイレに行く際、串刺しの羊を丸焼きにしているのが見えた。丸焼きというのは、非常にダイナミックな料理法だとしみじみ思った。
 羊肉はさほど臭みはなかったが、食べ慣れないせいもあって、そうは食べられなかった。
 食事の後、第1入口から入園した。プリトヴィツェ湖群国立公園は、92の滝がある16の湖からなるユーゴスラヴィア最初の国立公園で、1979年には世界遺産に指定されている。(プリトヴィツェ湖群国立公園については、こちらをご覧下さい)

 入口の案内図には日本語の案内があり、「え、クロアチアで日本語?」とびっくりした。これは日本人観光客が多いということなのか、それとも一昨年、ここに紀宮様がいらっしゃったためなのか・・・
プリトヴィツェ湖群国立公園(クロアチア)
 トムさんの先導で、景色を楽しみながら、ゆっくりと下湖から上湖へのぼっていく。クロアチアの観光の目玉であるこの国立公園へ、トムさんはガイドとしてもう100回以上訪れているとのこと。
 楽だからという理由で、先にパノラマカーで上に上り、それから下ってくる人も多いが、滝を見るのにいちいち振り返らないといけないので、絶対に下から上っていくべきだ、とトムさんが力説していた。
プリトヴィツェ湖群国立公園(クロアチア)  言葉では例えようもない色の湖と、たくさんの滝を見ながら、ゆっくりと木製の橋や道を歩いてゆく。浅瀬には石灰が付着して石化した白い倒木が、エメラルド・グリーンの湖水に身を横たえ、まるで時間が止まった空間を歩いているような、そんな気分になった。

 最大の湖コジャック湖で電動船に乗り、15分のクルーズを楽しんだ後は、さらに上ってGalovac湖まで。2時間以上歩いているが、全く疲れを感じない。
 Galovac湖で本日の観光は終了。ここからはパノラマカーに乗って、ホテル近くの出口に向かう。ホテルは公園出口のすぐそばにあるので、歩いてそのままホテルに入った。
 ふと足元を見ると、黒い靴が石灰岩の白い粉で真っ白になっている。ホテルの玄関脇に靴掃除の機械があったので、ちょっと使ってみた。
 16時半、イェツェロホテルにチェックイン。ドライバーさんが先にチェックインの手続きをしてくれていたので、そのままスムーズに部屋に入れた。
 「このホテルはお湯のキャパが少ないので、お風呂は早めの方がいいですよ」と添乗員の鈴木さんが言うので、まずはお風呂に入って、洗濯なども済ませた。この間に夕立があり、バルコニーに出るとひんやりとした空気が心地よかった。

 その後、ホテル内のギフトショップで職場用のばらまき土産を物色。これを早めに買ってしまわないと、自由時間を心おきなのクマが手ごろな値段だったのでいくつか買ったが、ちょっと重い・・・。
 
石灰岩の粉で真っ白になった靴
 夕食は19時から地下のレストランで。ロビーに集合したら、こんな山の中のホテルなのに、みんなドレスアップしていておかしかった。多分、お風呂に入ったからついでに着替えた・・・ということなんだろうけれど。
 前菜のマッシュルームのリゾットは、まるで中華丼のようでおいしかったのだが、これはあくまで前菜なのであった。その後出てきたビーフストロガノフ&パスタがほとんど食べられなかったのは言うまでもない。

 部屋に戻って、エアメールを書いたり、荷物の整理をしたり・・・と色々やってもまだ22時だが、明日は5時半起床なので、さっさと寝ることにする。



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