旅の準備編


 ことのはじまり
 7月の旅行(スロベニア&クロアチア)の分のマイレージが加算され、ANAのマイレージが15,000マイルたまっていた。ただし、前々年の未使用分の使用期限が今年の12月末まで。この分を切り捨てても、とりあえず来年1年は、特典航空券(国内)の引き換えに必要な10,000マイルは確保できるのだが、やはり切り捨てるのはもったいない。
 というわけで、9月に入った頃から旅行先の物色を始めた。

 さて、どこに行こうかな
 飛行機代はタダでも、休みがない。というわけで、大前提として、土日のみか、土日に1日有給をくっつけて2泊3日という日程にすることにした。
 問題は、どこに行くかである。候補地はいくつかあったのだが、以前からシーズンオフの南の島に憧れていたこともあり、15,000マイルを使い切ることができる「沖縄の離島」に候補地を絞り込んだ。
 私のマイレージはANAなので、マイレージを利用して行ける島は石垣島か宮古島ということになる。まずばガイドブックを1冊買って、どちらの島にするか検討することにした。

 南の島への憧れ
 上にも書いたが、私は以前からシーズンオフの南の島に憧れていた。ギラギラ照りつける夏の陽射しのなか、海で遊ぶ・・・というよりは、人気のない浜辺できれいな海を見ながら、ひがな一日ぼんやりひなたぼっこをしたい・・・とずっと思っていたのだ。(←疲れてるからでしょう、きっと)
 そうなると、11〜12月あたりの沖縄の離島は、長袖Tシャツ1枚くらいでちょうどいいくらいだということだったので、気候的にも理想的だった。

 宮古島と石垣島
 沖縄の離島のなかで、最も観光面でメジャーなのは石垣島ではないかと思う。そして、「ちゅらさん」の舞台となった小浜島や、水牛車がのんびり歩を進める風景で有名な竹富島、西表ヤマネコの棲む西表島などは、石垣島と同じ八重山諸島の離島である。
 冬の沖縄のパッケージツアーでは「沖縄3島めぐり」みたいなツアーが多いのだが、この場合やはり石垣島中心のツアーが多いように思う。
 実際、私自身もあの水牛車に乗ってみたいと思っていたし、石垣島の川平湾(石垣島随一の景勝地)を見たいとも思っていた。
 その点、宮古島と宮古諸島は少し地味なイメージが否めないように思う。
 しかし、ガイドブックに掲載されていた海の写真のきれいなことといったら! 私の中で順位の低かった宮古島だったが、いきなり急浮上したのだった。

 兼ね合い
 そんなこんなで、私の中では、ほぼ宮古島に決定していたのだが、日程とホテルの空室と航空券の空席という3つの兼ね合いがある。いずれかひとつでも欠けたら、その旅行は成立しないのだ。
 特典無料航空券の割り当て席数はもともとそうは多くないので、まずはANAのHPで空席情報を見ながら、日程を絞り込んでいった。石垣島の方が、残席が少ないようで、やはりこれは宮古島かな・・・とここで9割方決定した。

 ホテル選び
 今回の旅行は、観光よりは休養が目的だったので、ホテル選びはひとつのポイントだった。観光重視の都市滞在型であれば、値段にポイントを置いてビジネスホテル等でもかまわないのだが、今回は「海に近いこと」「部屋でリラックスできること」「部屋から海が見えること」という条件付けをした。
 しかし、シーズンオフでも沖縄のリゾートホテルの宿泊料は高い! 大体、リゾートホテルにシングルは少ないので、割高でもツインかダブルのシングル・ユースにするほかない。
 なんとか条件はよくて少しでも安いホテルはないか・・・と探しまくったところ、宮古島の老舗リゾートホテルである「東急リゾートホテル」に行き当たった。
 ANAのサービスのひとつで「ワンモア・ホテル」というのがあって、航空券を予約すれば、割安で提携ホテルに予約ができるシステムがある。このサービスを利用すれば、かなり東急リゾートに割安で泊まれるうえ(まあランクの低い部屋ではあるが)、東急リゾートは「東洋一」といわれる、とてもきれいな与那覇前浜ビーチに面しているという好立地条件だったのだ。きれいなビーチでのんびり・・・もこれで完璧!

 予定だけは完璧な旅程
 と、このような経緯で、日程は11月29日〜12月1日、行先は宮古島、宿泊先は東急リゾート、というところまで決めた。が、実はこの時点ではまだ予約は取れていなかった。
 というのも、特典航空券の予約は2ヶ月前から開始だったし、航空券の予約が完了しないとホテルの予約もできないからである。予約開始日までは1週間ほど・・・毎日空席&空室情報を確認しながら、じりじりとその日を待った。
 しかし、旅行の準備というのはとにかく気分が高揚する。ガイドブックを読む時も、旅程を組む時も、予約を取るときも・・・ドキドキわくわくイライラ・・・色んな感情が湧いて出てきて、本当に楽しいのだ!

 今になってそれはないでしょう!
 予約開始日前夜。いつものように、ANAの空席情報を確認した私の目は、点になった。
 だって! 「那覇→宮古」便の空席情報が、昨日まで充分空席ありの「○」印だったのに、いきなり「残席1」になっているのだ!!
 沖縄までたどり着いたって、宮古に行けなきゃ意味がないんだよ〜! ムンクの「叫ぶ人」状態で、パニック起こす私である。ここで宮古便が取れなければ、旅行の計画は最初っから練り直しになってしまうのだ。こうなると、もう心配で夜が長い長い。イライラしながら夜が明けるのを待った。

 神様仏様!
 夜は明けても、その日は平日。昼休みになるまでは電話をかけることができない。(注:通常であれば、ネット予約が可能なのだが、離島便(那覇−宮古や、那覇−石垣)の特典航空券の予約に関しては、電話をかける必要があった)
 イライラしながら、12時になるのを待ち、12時と同時に予約センターへ祈るような気持ちで電話をかけた。
 結果は◎! ちゃんと往復とも希望通りに予約がとれたので一安心。

 一体、何だったんだ・・・
 帰宅後、今度は「ワンモア・ホテル」のサービスを利用して、ネットでホテルの予約も完了。これで計画通り、航空券とホテルの手配が完了。
 ほっとしつつ、なんとなくANAの空席情報を見たところ・・・満席になってなきゃおかしいはずの「那覇→宮古便」が、「充分空席あり」になっているではないか!
 一体何だったんだ〜! 私の寿命の縮んだ分を返せ!(←昨夜の一晩で、相当ドキドキ、イライラしたらしい)

 だが、しかし!
 まあ、人騒がせな空席情報に振り回されたものの、無事に手配できたので、その晩は幸せな気分でさっさと布団にもぐりこんだ。ガイドブックで宮古島のお勉強でもするか〜、とページをめくっていたところ、私の目が、ふとあるページで留まった。
 それは、沖縄の離島の「一度は泊まってみたいホテル」みたいな巻頭の特集で、宮古島のページには2つの宿が紹介されていた。ひとつは、東急リゾートで、もうひとつは「ラサ・コスミカ ツーリストホーム」というペンションだった。
 私の目は、この「ラサ・コスミカ」の紹介に釘付けになった。
 まず目をひくのが、その意表をつく外観。何色というのか・・・温かみのある肌色のような色合いの建物は、城壁のような形をしている。「違和感バリバリ」と言えばそうだし、「おしゃれ」といえばそうとも言える、とにかくなんとも言えない外観をしているそのペンションは、そのコンセプトも変わっていた。1泊2食付の料金設定になっているのだが、その食事は「オーガニック・ベジタリアン料理」。つまり、肉も魚も出てこないのだ。
 そして、ロケーション。宮古島と橋でつながっている池間島に建っているのだが、この池間島にはここを含めて宿泊施設が2件しかない。そして、目の前はもちろん海である。とにかく静かな環境で休養したいと願っていた私にとって、いかにも人気のなさそうなこの環境には大いに惹かれた。(ラサ・コスミカについては、旅行記および「旅のお宿」コーナー内の「ラサ・コスミカ」をご覧下さい)

 怒涛の1日、無事終了
 紹介文を読んでいるうちに、この個性的なペンションにどうしても泊まってみたくなっていた私は、いきなり布団から起き出しパソコンを起動させると、たかたかとラサ・コスミカ宛にメールを打って送信した。
 すっかり眠気も吹き飛んでしまったので、ラサ・コスミカのHPや、そこからリンクされているラサ・コスミカに泊まった人たちの旅行記などをつらつら読んでいるうちに、はっと気づけば1時間ほど過ぎていた。そして、早速、宿からの返事が!
 ドキドキしながら開封すると、「シングルは満室ですが、ツインのシングル・ユースなら可能です」との回答が。シングルよりは割高になるものの、ツインにはバルコニーもついているので、正直、わたし的にはかえって嬉しいくらいだった。
 万歳三唱! 先ほど予約したばかりの東急リゾートの予約をキャンセルし、その晩は満ち足りた気分で眠りについたのは言うまでもない。