京都物欲ツアー
(別名 「京都の値段 その二」の旅) 

2004年5月15日(土)〜17日(月)


 柏井 壽著「京都の値段」(プレジデント社)という本が出版されている。
 この本は、「京都には、もっといろんな楽しみ方がありますよ」という、ガイドブックとはちょっと違った視点から京都の名物(?)にスポットライトをあてた本である。
 今回、京都めぐりをするにあたって、「京都の値段 その二」で紹介されたお店を何件か訪ねてきた。そして本で紹介された品物をついつい購入してしまった・・・というわけで、観光というよりは「お買物」の旅となっていたような気がする・・・
 今回の旅行記は、それらのお店の紹介も兼ねているので、興味を持たれた方は、機会があったらぜひ訪問してみて下さい。

 5月15日(土)
 以前から、老舗のお茶屋さんである「辻利」がやっている喫茶室「都路里」(つじり)で抹茶系のデザートを食べたいと思っていた。
 しかし、祇園の「都路里」はいつも道路まではみだす長蛇の列。時間に余裕がなければ、とても並んで待っていられない。
抹茶カステラパフェー

茶寮 都路里
 京都駅に隣接するJR伊勢丹の6階にも「都路里」が入っていることを知り、今回は朝イチで行ってみることにした。
 とはいうものの、「朝からパフェなんて・・・」という複雑な(?)心境でもある。が、ここで機会をのがしたら、次はいつになるかわからない。10時の開店に合わせて、京都駅に着くように出発した。
 10時15分ころ店に到着。すでに店内の席は結構埋まっている。そして・・・全くひるむことはなかったのだ・・・皆して朝っぱらからパフェを食べている!
 窓際の席に案内され、分厚いメニューをめくる。パフェだのあんみつ系だのだんご系だの、わけがわからなくなるほどメニューが豊富である。パフェは何種類もあって、かなり悩んだが、アイスだけよりはカステラが入っているほうが多少軽いのではないかと考え、「抹茶カステラパフェー」を注文。「玄米茶パフェー」や「ほうじ茶パフェー」も一体どんな味なのか興味津々だったが、やはり最初はオーソドックスに抹茶で攻めることにした。
  ほどなくして、どんっとパフェが運ばれてきた。抹茶アイスが濃くて甘すぎなくておいしい! さすがに最後の方になると胃がもたれてきたが、憧れのパフェに無事ありつけることができて、非常に満足した。


 JR伊勢丹を出て、まずは「京都の値段 その二」で紹介されていた和ろうそくの専門店「丹冶蓮生堂」へ向かう。このお店は東本願寺のそばにあり、京都駅から徒歩で5分少々である。
 私はこの本を読むまで、いわゆる「キャンドル」というかパラフィンでできている洋ろうそくしか知らなかった。和ろうそくは、漆の仲間のハゼの実から作られるのだそうで、煤も少なく、ゆらゆらと揺らいだ燃え方をするのだそうだ。
 そんな紹介文に興味を持って、古いたたずまいの小さなお店を訪問した。狭い店先のショーケースのなかには、赤や白の普段使いのろうそくのほかに、お土産用というか観賞用として作られたものなのだと思うが、季節の花々などが描かれたろうそくも並んでいた。
 私は赤白2本組みの絵入りのろうそくを買い求めた。しばらくは火はつけずに飾っておいて、いつか特別な日に火をともしてみようと思っている。


 京都駅に戻り、今度はバスで移動。数年前から行ってみたいと思っていた英国アンティークショップがあるのだ。
 205番のバスに乗ろうと思ったが、この路線は下鴨神社に向かう路線でもあり、バス乗場は大混雑。今日はちょうど「葵祭り」の日なのだ。
 あまりの混雑のため、バス路線図で別の路線を探し、北野天満宮経由の50番に乗り込んだ。
 そのアンティークショップ「ブリコラージュ」は、北野天満宮から数個目のバス停「わら天神」の目の前にある。
 アンティークショップの類は、お店に入るのに少し緊張する。誰もが気軽に出入りするようなお店ではないので、ぶらぶらと用もなく入るわけにはいかないし、また高価な品物を扱っているので、粗相をしてはいけない・・・といったような意味でも気を使うのだ。
 ティーカップなどの食器を中心に、じっくり拝見させてもらった。残念ながら、ピピッとくるものがなかったので、何も買わずに失礼したが、スージー・クーパーやシェリーの食器を見て、「ああイギリスでアンティーク・マーケットめぐりをしたーい!」としみじみ思ってしまった。


 今度は205番のバスに乗ったが、金閣寺のあたりで修学旅行生がごった返していた。ちょうどそんなシーズンらしく、あちらこちらで班行動の中高生を見かけた。
 下鴨神社のあたりで、バスはすし詰め状態。私は市役所前のバス停で降りたかったのだが、降りるのが大変で、「降りまーす!」と何度も叫びながら、やっとのことで降りることができた。
 市役所前から、寺町通りへと向かった。まずは、「京都アンティークセンター」に寄り、ぐるりと一周。興味はあるけれど、全然目利きではないので、見るだけで終わってしまう。
 そして、同じブロックにある「奥島商店」を探す。ここも「京都の値段 その二」で紹介されたお店で、焼き芋のお店なのだ。このお店の紹介文で引き合いにだされているのが、すぐそばにある青果店である。この青果店は梶井基次郎の小説「檸檬」に出てくるお店なのだが、「京都の値段」の筆者は檸檬を買う梶井の目には、絶対にこの焼き芋も目に入っていたはずで、「もしも『檸檬』ではなくて、『焼き芋』だったら、きっとストーリーが全く違ったものになっていただろう」と書いている。
 私と職場の同僚はこの紹介文に大うけし、「よし、私はぜひとも、このこだわりの焼き芋を買うぞ!」と勇んで出かけてきたのである。あまりに地味な店構えに、最初は素通りしてしまったが、通り過ぎた後に匂いで気づいた。振り向けば、お店のご主人が店先に座り、その前にはおいしそうな焼き芋が10個ほど並んでいた。
 ひとつ購入し、そのまままっすぐ寺町通りを下っていくと、本当に目と鼻の先に、梶井が檸檬を買った青果店があった。こちらは現代風なオシャレな店構えに改装されており、レモンがたくさん並べられていた。
 余談だが、その夜、ケータイから職場の同僚へ「焼き芋買った!」とメールしたところ、「丸善に行きましたか?」と返事がきていた・・・
【注: 小説「檸檬」では、青果店で檸檬をひとつ購入した主人公が、そのまま書店の丸善に向かい、そこで画集を積み上げた上に檸檬を乗せて店を去るのだ。・・・こう書くとまったく情緒のない文章なので、詳しくは小説をお読み下さい。同僚は、焼き芋を持って丸善に行き、画集を積み上げた上に焼き芋を乗せてこい・・・と言いたかったらしい。そんな挙動不審なことしません!】


 寺町通りをそのまま下り、アーケードに入った。またもや「京都の値段 その二」で紹介されている「スマート珈琲店」でコーヒーとオムライスをいただきたかったのだが、あいにく満席。仕方ないので、ここはあきらめてぶらぶらと寺町通りの商店街を進んだ。
 やがて、錦小路にさしかかり、ふと思いついて錦小路へと進んだ。
 入口からほど近いところに、焼きあなごの専門店「まるやた」がある。ここの穴子寿司を以前持ち帰ったことがあるのだが、本当においしいのだ。覗いてみると、店の奥のカウンターが空いていたので、店内で穴子寿司をいただくことにした。とにかくおいしい!


 大満足でお店を出た後は、新京極の方へ抜け、花遊小路の「よーじや」へ向かった。
 いわずと知れた、「あぶらとりがみ」の「よーじや」。京都中に何店舗もあるけれど、私はいつもここで買物をする。あまり目立たない場所にあるせいか、あまり混んでいないのだ。
 頼まれ物も含めて、あぶらとりがみなどを購入し、四条通りに出た。
 四条通りは相変わらずの大賑わい。ここはいつきても、一番人が集まる場所のような気がする。
 鴨川の川べりにはもう川床が出ており、「ああ夏が近づいているんだなー」としみじみ感じた。


よーじやのあぶらとりがみ
井澤屋のガーゼてぬぐい  お次は、これまた「京都の値段 その二」で紹介されている和装小物のお店「井澤屋」。
 お店は南座の道向かいにあり、今まで何度もお店の前を通ってはいたが、なんだか敷居が高そうなのとあまり私が買うようなものはないんじゃないかと思っていたこともあり、今回初めて足を踏み入れた。
 本で紹介されていたのは、「ガーゼ湯上り」という、いわばガーゼのバスタオルである。お値段も手ごろだったし、ガーゼという素材が、お風呂上りの水滴をぬぐうのにとても気持ちよさそうだと思ったので、今回ぜひ購入したかったのだ。
 写真は同柄の手ぬぐいサイズのものだが、やわらかいガーゼの上に、かわいらしいうさぎ柄がプリントされている。


 さらにその次も本で紹介されている、手ぬぐいのお店「永楽屋」。
 明治〜昭和初期にこのお店で作っていた手ぬぐいの復刻版が、非常に洒落っ気たっぷりで面白いのだ。舞妓さんがボートを漕いでいる「おきばりやす! おきばりやす!」なんて手ぬぐい、タイトルも茶目っ気たっぷりで面白い。
 これらの手ぬぐいを使って作られたトートバックやポーチなどもあり、私は特に気に入った「伸び猫」という柄のメガネクロスを購入。
 手ぬぐい用の額も販売されており、これに手ぬぐいをおさめれば、しっかりとアートしている。


永楽屋のメガネ拭きクロス
 そのまま道路を渡って八坂神社へ。境内を抜けて、さらにその奥にあるレディースホテル「長楽館」へと向かう。
 「長楽館」は古い洋館で、レストランや喫茶室を利用すれば、そのクラシックな佇まいのなかでゆっくりすることができる。
 ステンドグラスや壁の装飾など、とても素敵な空間のなかでしばし休憩。
八坂神社
八坂神社
長楽館
長楽館のティールーム

 夕食は両親と食べることになっていたので、待つあわせ場所の松尾へ向かった。
 松尾大社のそばの料理屋さんだったのだが、ちょうどこの日は瀬〇内〇聴さんの誕生日パーティーをやっていた。(このお店は瀬〇内さんの行きつけのお店らしい)
 差し入れていただいたケーキがあるから・・・と女将さんが一切れずつおすそわけのケーキを持ってきてくれた。お姿は拝見できませんでしたが、ごちそうさまでした、瀬〇内先生。