ランプの宿 （石川県珠洲市）

	1994年のある日。 　学生時代の友人と久しぶりに会い、お茶を飲んでいた。 「・・・温泉にでも行ってのんびりしたいよね」 　意気投合（？）した私たちは、喫茶店を出て本屋に向かい、それぞれガイドブックをパラパラめくったのであった。 　そして。 　私はある写真に釘付けになった。 　目の前に、日本海の荒波が打ち寄せる露天風呂！ 　これだ！これしかない！ 　興奮気味に友人にその写真をつきつけ、いきなりその場で予約の電話を入れた私たちであった・・・ 　それがこの宿、「ランプの宿」。 　能登半島の先端に位置する・・・なんとも不思議な宿であった。 　数年前まで電気が通っていなかった・・・ということで、主な照明はランプ。今ではちゃんと電気の照明もあるが、ちゃんと部屋にはランプがぶらさがっているのであった。 　部屋には洗面台もトイレもないけれど、囲炉裏があったりする、本当に素朴な古い宿なのだ・・・が。 　別館は、なぜか「タヒチ」をイメージしたという真っ青なプールに張り出した純和風の建物で、このプールがまた違和感バツグンなのであった（笑） 　日本海の荒波を眺めながらの入浴を済ませた後は、お楽しみの夕食が待っている。 　でっかい机いっぱいの海の幸、海の幸！ 　まんなかにはズワイガニが鎮座ましまし、その他にも甘エビやらなんやら、食べきれないほどの食事を堪能した。 　その当時は全然知らなかったのだが、この宿、気づけばしょっちゅうテレビの旅番組で紹介されているのであった。 　部屋が14室しかないとのことで、実際のところ、予約を入れることすら難しいらしい。 　私たちは、非常に運がよかったのだと、宿のダンナさんにも言われたのであった・・・ 　能登半島の本当に先端なので、電車派の面々には、ちょっと不便な場所にあるが、それもこの宿の魅力。 　興味のある人は、頑張って（？）予約を勝ち取った上で、日本海の荒波、柔らかいランプの明かり、おいしい海の幸をぜひ満喫しに行って欲しい。

（注）住所・電話番号・ＵＲＬは2002年７月16日時点のものです。
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